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老け顔のメカニズム。どこが変わると人は老けて見えるのか?

老け顔のメカニズム。どこが変わると人は老けて見えるのか?

齋藤 薫

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齋藤 薫

“目の錯覚”を使ったリフトアップ効果

たとえば、アイラインをクッキリ引くと、それだけで3歳若く見えるって、気づいていたでしょうか? そのアイラインをもっと太く濃く、そして目尻を少し跳ね上げるように描くと、さらに5歳若く見えるって……。そもそもが、すべてのメイクは“目の錯覚”。ただ顔の上にのっけているだけで、“そう見える”という錯覚を引き出さないメイクなんて、まったく意味がないと思うのです。

最近は、肩まで届きそうな大きなイヤリングが流行だけれど、これも顔との対比で“小顔に見えるから”という目の錯覚を狙ったトレンド。人から見えないような小さなピアスは、自己満足でしかないということなのです。

実際に、上のアイラインを他人の目からもちゃんと見えるように濃く太く入れると、そのラインに“顔の重心”が引っ張られるように少しズレるので、顔の下半分のボリュームが小さく見える。“小顔”効果に加え、リフトアップ効果も生まれるから、明らかに3歳若く見えるはずです。

さらに“目尻を跳ね上げる”と、それがたった1ミリの跳ね上げであっても、そのわずかな角度が見えない点線を顔の上に描いて、こめかみの方まで伸びていき“上向きのベクトル”をつくるから、まさにこめかみから皮膚を引っ張り上げたような“錯覚リフトアップ効果”が生まれるということ。だから、5歳は若返る……と考えて。

まつ毛も同様で、正面から毛先が他人の目にハッキリ見えるほど“太く長いまつ毛”は、極端な話、1本でもあれば、それが“リフト効果”を持ってしまう。まさしく見えない矢印が上向きのベクトルをつくるから、それだけで3歳分くらいのリフトアップになるということなのです。だから、いくらマスカラを塗ってもエクステしても、正面から毛先が見えないと意味がないということ。そのツボを決してハズさないでほしいのです。

怖いのは、横ジワより縦ジワ。“下向きの矢印”に見えるから

じゃあ逆に、“顔を老けさせる矢印”は? と考えてみて。みんなが“ほうれい線”を嫌うのは、顔の上に大きな下向きの矢印ができるからで、コワイのはひたすら縦ジワ。いわゆる“カラスの足跡”のような横ジワは、まだ全然マシ。目尻から扇状にできるシワのうち、下の方にある“下向きのシワ”だけ取って、横ジワはあえて残すような“ボトックス”のワザもあるというけれど、そうやって“下向きの矢印”は、見えるものも見えないものも一掃するのが、目に見えるアンチエイジングとなることを忘れないでください。

同時に意図的に“上向きの矢印”をつくること。たとえば、顔の中央からこめかみに向けて、“上向きの見えない矢印”をつくるつもりで、ハイライトを幅広で入れてみて。それはほうれい線などの大きな下向き矢印を打ち消す“上向きベクトル”をつくるため。

そうやって、下向きには上向きを、下向きを、上向きに……と心掛けることが、たちまち5歳10歳のアンチエイジングになるということなのです。

髪の“トップにボリューム”は、絶対不可欠な、上向き矢印

そもそも、歳を重ねるほどに髪にボリュームが必要になるのも、同じように“上向きのベクトル”をつくるため。逆にいえば、大人のロングヘアがきわめてリスキーなのも、髪の長さそのものが“下向きのベクトル”をつくってしまうからなのです。

そこで、何はともあれトップにボリュームを持ってくる。それが“顔立ちの重心”を上に持ち上げ、アイラインと同じ効果を生んで、やっぱり顔立ちを丸ごとリフトアップしてくれるはず。ひっつめ髪でも、トップをふくらませるのは、ひたすらリフトアップのためなのです。

いずれにせよ、女にとって髪型は“もうひとつの顔”。どこにボリュームを持ってくるかで、顔立ちが大きく変わってくるのは、みんなよく知っています。でも、歳を重ねてからは、ボリュームをどこに持ってくるかで、顔の輪郭が変わってくること、たるみの有無まで変わってくること、知っておかないと……。

化粧品でのアンチエイジングはもちろん大事。でも、やみくもなスキンケアをただ漫然と続けるだけでなく、“老けて見えない工夫”を積み重ねてこそのアンチエイジングだって知っておいてほしいのです。“目の錯覚”を使わない美容なんて、ありえないのだから。

齋藤 薫

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